「業界研究」半導体業界
最近何かとニュースに登場する半導体ですが、一言で半導体と言ってもいろいろ種類があったり、関連企業もそれぞれ役割が違ってわかりにくいです。
そこで、ここでは半導体の部材や、関連企業について説明します。
半導体関連部材・用語あれこれ
ウエハー
ウエハーとは半導体チップの基板で、シリコン(ケイ素)が主流の素材です。
この上に微細な素子を形成していきます。基板はインゴットと呼ばれる筒状の状態から切り出して作ります。
現在は直径200mmと300mmのものが主流です。直径が大きいと多くのチップを一度に製造できます。
薬品
エッチングガスとフォトレジストが主な製造で使用される薬品です。
フォトレジストは光に反応する性質があります。
エッチングガスは、フォトレジストの反応前後どちらかのみに作用して、化学的にフォトレジストを除去することができます。
そのフォトレジストを基板上に均一に塗布し、そのあと露光装置を用いて、マスクに描かれたパターンをフォトレジストに露光します。
その後エッチングガスを用いて、フォトレジストを除去することにより、基板上にパターンが形成できます。
その状態で、イオン打ち込みを基板表面から行うことにより、基板上にパターンと同じ形状の素子を形成していくことができます。
マスク
マスクは一つの半導体チップに対して数十枚必要です。
素子形成用と配線用マスクがあり、素子や配線のパターンが描かれています。
それぞれのマスクを決められた順序で使用していき、チップを作りこみます。
製造装置
製造装置として、露光装置、エッチング装置、洗浄装置、熱処理装置、テスト装置、ワイヤーボンディング装置などがあります。
露光装置の進化が、微細化に大きく貢献しています。
製造
製造のみ行う企業をファウンドリと呼びます。ファウンドリの多くは、チップの製造までを行い、前工程と呼ばれます。
チップは、通常プラスチックのパッケージに覆われており、この部分と出荷テストを行う工程が、後工程と呼ばれます。
設計
設計のみを行う企業をファブレス半導体企業と呼びます。設計後はファウンドリに製造を委託します。
IDM
Integrated Device Manufacturerの略で、設計と製造両方を行う会社です。
半導体関連企業一覧
以下に関連企業を示します。他にもありますが、大きい会社をリストしてみました。
半導体の種類あれこれ
ディスクリート
トランジスタやダイオードなどの素子単体のものが多いです。
小型化のため、複数個を一つのパッケージにまとめた製品もあります。
ロジック
マイコンやGPUなどが該当します。最も微細な加工技術が要求されている分野です。
メモリ
DRAMやフラッシュメモリが該当します。微細な加工技術が要求されますが、
微細化で追いつかない部分はチップを積層化する技術で対応しています。
アナログ
電源チップやモータ制御やオーディオの入出力部分などに該当します。
センサー
アナログの一種です。最近ではCMOSイメージセンサが伸びています。
微細化のトレンド
微細化すると、チップが小型化し、多くの素子を詰め込めるので、高性能化します。
特に、ロジックとメモリの分野では直接性能に影響するので重要です。
一方で、微細化すると素子の性能は悪化する傾向があるので、アナログやセンサーはそこまで必要ありません。
しかし、近年の傾向として、入出力回りのみアナログで、内部処理はデジタルといった、ミックスドシグナルという思想で設計されたチップが増えており、デジタル部分を小型化するために、比較的微細なプロセスを選択するケースが増えています。
以下は筆者の独断と偏見による微細化のトレンドです。(2021年)
まとめ
これらを踏まえれば、半導体関連のニュースを理解しやすくなるのではと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。